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エポカ探訪

あざれあ× SPAC「ふじのくに⇄せかい演劇祭2023」

 「らしさ」からの解放を考える2作品

©kisoul

 

 

©Young-Mo Choe

 

 

 今年のゴールデンウィークは「男女共同参画」について考えてみませんか? 「男女共同参画」と聞くとなんだか難しそう…というイメージがあるかもしれません。

 

 静岡県では男女共同参画社会について『性別に関わりなく、あらゆる分野で ⾃分の個性や能⼒を発揮でき、その成果を認め合うことができる社会』の実現を目指しています。

 

 今回紹介する探訪作品は「ふじのくに⇄せかい演劇祭」で上演される2作品です。

 

 「ふじのくに⇄せかい演劇祭」は、静岡県立の劇団SPAC(スパック=静岡県舞台芸術センター)が毎年ゴールデンウィークに開催している国際演劇祭です。今年は静岡県が韓国の全州市、中国の成都市・梅州市とともに「東アジア文化都市」に選ばれたことから、演劇祭にも韓国から3作品がラインナップ。競争社会の中で〈自分らしさ〉を模索する高校生を描いた現代劇、プロのダンサーと静岡の“グランマ”が国境も世代も超えて創るダンスなど、多彩な作品が楽しめます。

 

   今回取り上げる2作品の中から日韓に共通する「少子高齢化」「格差」「老い」といった課題に向き合うヒントや、「男らしさ」「女らしさ」だけでなく年齢など、固定化された概念の「らしさ」にとらわれずに自分を表現する方法を見つけてみませんか?

 

 

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注目作品①

■XXLレオタードとアナスイの手鏡

 

制服の下に隠した“自分らしさ”

韓国のリアルをポップに描いた、悩める高校生たちの物語

 

 大学入試を控えたジュンホ。彼はレオタードを着ると幸せを感じるが、友人やガールフレンドには絶対に言えない。ところがある日、レオタード姿の男性の自撮り写真が流出、同級生たちが写真の人物を特定しようと騒ぎはじめた…。一体誰が、何の目的で拡散させたのか?

 

 

-作品背景-

  本作は、2014年に起きたセウォル号沈没事故をきっかけに、犠牲となった高校生たちが暮らしていたアンサン市の協力を得て製作され、2015年の初演以来繰り返し上演されてきた。その間に世界的な広がりを見せた「MeToo運動」や「LGBTQ」への関心、コロナ禍での価値観の変化など同時代的な視点も取り入れ、2022年にはロンドンでも上演され話題を呼んだ。格差社会における受験や就職の悩み―

―「いま」を生きる若者たちの心の機微が、日本の観客と交差する。

 

 

 

 

 

 

 

 

-SPAC芸術総監督 宮城 聰さんのコメント-

 日本と韓国は非常に似たところがあると思います。韓国は出生率がものすごく低いですよね。そして女性が経済的に活躍している度合いにおいて、OECDの中でも日本と韓国が最下位を争っています。昔ながらのシステムの中でもがいているという共通の悩みがあるわけですが、その中で、「レオタードを着るととても気持ちが良くなる」という高校生、男性がいる、そういったことを演劇で直接見せるというのは、韓国演劇界において、チョン・インチョルさん(*本作演出)の世代が初めてだと思います。こういう問題意識は、今の日本の若い観客にも非常に響くのではないかと思っています。

 

◆公演情報◆

日時:5月3日(水・祝)14:00開演、4日(木・祝)13:00開演

     ※3日は終演後にアーティストトーク有り

会場:静岡芸術劇場(静岡市駿河区東静岡2丁目3-1 グランシップ内)

 

上演時間90分(途中休憩なし)

韓国語上演/日本語字幕

 

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注目作品②

■Dancing Grandmothers ~グランマを踊る~

 

踊る門には福来たる?!

劇場が世代を超えた「グランマ」たちのダンスフロアに!

 

 世界で活躍し、“韓国のピナ・バウシュ”とも評される振付家アン・ウンミは故郷を巡る旅の中で「グランマ」たちに出会い、彼女たちが自由に踊る姿を映像に記録した。今作品ではそれぞれが歩んできた人生の襞(ひだ)を雄弁に物語る「グランマ」たちの温かい身体と、鍛え抜かれたダンサーの身体が舞台上で化学反応を起こし、ポジティブなエネルギーが満ちる。また今回は、静岡に暮らす「グランマ」たちと共演するスペシャルバージョン。

色鮮やかな光、映し出される韓国の風景と人々─

世代を超えた身体が舞台で混ざり合うとき、劇場はダンスフロアと化し、観客をもダンスの渦に巻き込む。

 

 

 

 

 

 

 

-SPAC芸術総監督 宮城 聰さんのコメント-

 本作の振付・演出のアン・ウンミさんは、韓国ダンス界のゴッドマザーなどとも言われる大物です。彼女が今の時代にとても大きな意味を持った創作をしていると僕が考える理由は、“自分たち”以外のものの中に「豊かなもの」を見つけてくるところです。例えば、芸術家が「自分たちは芸術ができる一方で、素人は芸術ができない」と考えたり、我々も「韓国は自由な国だから芸術が発展したけれども、北朝鮮はああいった体制だから、創造的な芸術はなさそうだ」と決めつけたり、そういったことが往々にしてある。アン・ウンミさんはそうではなく、相手の中に「こんなに豊かなものがあるよ」と見つけてくる。他者の文化へのリスペクトを持つことによって、国と国、コミュニティとコミュニティの最終的な破局を避け、断絶を縫合していく、そういう今一番必要な作業を、ダンスの形で行っているのがアン・ウンミさんじゃないかと思います。

 

 

◆公演情報◆

日時:5月7日(日)14:00開演/19:00開演

会場:静岡芸術劇場(静岡市駿河区東静岡2丁目3-1 グランシップ内)

上演時間90分(途中休憩なし)

 

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ふじのくに⇄せかい演劇祭2023

会期:2023年4月29日(土・祝)~5月7日(日)

会場:静岡芸術劇場、静岡県舞台芸術公園、駿府城公園 ほか

 

★ふじのくに⇄せかい演劇祭2023の詳細はこちら(外部リンク)

https://festival-shizuoka.jp/

 

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※)SPAC-静岡県舞台芸術センター(Shizuoka Performing Arts Center):https://spac.or.jp/

©kisoul

 

 

©Young-Mo Choe

  静岡県が設立した公立劇団。グランシップ内の静岡芸術劇場と日本平にある舞台芸術公園を拠点に、多彩な舞台芸術作品の創造・上演とともに国際演劇祭「ふじのくに⇄せかい演劇祭」の開催、海外公演、中高生鑑賞事業や人材育成事業、県内各地でのアウトリーチなど様々な活動に取り組んでいます。

あざれあ図書室

あざれあ×SPAC

韓国フェミニズムを読む@展示コーナー

 今月の展示コーナーのテーマは「韓国フェミニズムを読む」です。

SPACとあざれあ図書室との企画展示です。

 

 毎年ゴールデンウィークに開催される、SPACによる「ふじのくに⇄せかい演劇祭」。今年は静岡県が「東アジア文化都市」に選ばれたこともあり、韓国・中国の作品も数多く上演されます。

 

 この上演に合わせ、あざれあ図書室では「韓国フェミニズムを読む」をテーマに、おすすめ本をピックアップしました。

 

 近年、若い世代がフェミニズムに覚醒し、声をあげ、社会に変化をもたらしている韓国。

 

 勢いがとまらない韓国フェミニズムの名著をご紹介します。

 

 詳細はこちら

 

静岡県男女共同参画センター あざれあ

〒422-8063 静岡県静岡市駿河区馬渕1-17-1 TEL:054-250-8147 FAX:054-251-5085

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