2013年4月に始まったHPV(子宮頸がん)ワクチンの定期接種(※1)。副作用(※2)の報告などで同年6月に積極的勧奨が中止となり、2022年4月に再開されました。しかし県内での接種率は戻っていません。そこで、ワクチン接種が進まない理由や子宮頸がんについて、静岡県立こども病院の医師、荘司貴代さんに話を聞きました。
子宮頸がんとHPVワクチン
子宮頸がんは年間約1万人の女性がかかっていて、そのうち約3,000人の女性が亡くなる病気です。がんの原因は、HPV(ヒトパピローマウイルス)の持続感染。プールやお風呂では感染しませんが、性的接触により微細な粘膜の損傷からこのウイルスは侵入します。生涯でほとんどの女性が感染しますが、多くが自然治癒します。持続感染した場合、子宮頚部の粘膜が徐々に悪性化しがんになっていくのですが、症状が出ないんです。そのため、気づいた時には進行していてほとんどの方が子宮全摘出となります。全摘出になってしまうとリンパ浮腫という足がパンパンになる症状が現れ、スカートが履けない、立ち仕事がつらいなど、その後の生活に支障があったり職業の選択も制限されてしまいます。
県内の大学生にHPVワクチン接種の話をした時に「接種する年齢が早すぎない?」「自分が感染しているか分かるの?」「コンドームで感染を防げるの?」などの質問を受けました。答えは「感染しているかは血液検査では分かりません」また「コンドームで感染は防げません」。ですから感染前(10~16歳まで)の早期の接種と、20歳以降の定期的な検診が大事になってきます。
HPVワクチン接種から見えるジェンダー問題
発症のピークは30~40代。働き盛り、子育て時期に重なります。しかし感染経路(性的接触)のせいで、自分が子宮頸がんだったと言わない、職場や家庭で話題にできないなどでワクチンやがんの情報が広がりません。ワクチンは期間を開けて1年間で3回接種しなくてはならないので、学校や職場の理解が必要です。しかし、例えば管理職に占める男性の割合が多いと、男性の上司から女性社員へワクチン接種を勧めることが「セクハラと思われるのでは?」と躊躇してしまうようです。
また、HPVワクチン定期接種の対象が女性だけということもあり、男性には関係ないと思われがちですが、HPVワクチンを接種すれば、男性にも関係する尖圭コンジローマ、咽頭がん・口腔がん・肛門がんの予防にもなります。海外では男女問わず接種していますが、日本では現在、男性のワクチン接種は一部自治体を除き自費です。
正しい情報を基にがんを予防しよう
ワクチンは、2価(サーバリックス)・4価(ガーダシル)・9価(シルガード9)の3種類あり、いずれもがんの発生頻度の高い型に有効です。シルガード9は子宮頸がんだけでなく、尖圭コンジローマも予防できます。効果に関しては、打っていない人で子宮頸がんになった方が100人いたとします。もしも30歳までに打っていたら40人に、10代で打っていたら12人に減らせた。ということです。
17歳から30歳までで遅れて打った人で、すでに感染している人もいるかもしれないけれど半分減らせますというデータがあるので、キャッチアップ世代の26歳まででなくても、打ちたい人は45歳まで一応効果があると言われています。感染する間に接種することで予防効果は上がります。
ワクチンの打ち方はコロナと同じ筋肉注射です。筋肉痛はありますが、発熱や倦怠感などがありません。万が一接種後に副作用が出た場合は、必ず接種医に相談してください。副作用は接種後から発症までの期間が決まっていません。数か月経ってから症状がでても、気になったらまず接種医に相談するべきです。
繰り返しになりますが、「キャッチアップ接種」は2025年の3月末までです。現在静岡県のキャッチアップ世代(17~26歳までの女性)は14万人いるのですが、2022年の4月から1年経っても1万人しか接種していません。このまま接種しなければ約1,000人が子宮頸がんにかかり、280人が死亡してしまいます。誰でもなるがんだからこそ、ワクチンに対する正しい情報を基に、この無料の期間に接種して予防しましょう。
※1)定期接種
決められた年齢では無料で接種を受けることができるもので、「HPVワクチン」は小学校6年~高校1年相当の女子を対象に、定期接種が行われています。
※2)副作用
子宮頸がん予防ワクチン接種後に見られる主な副作用として、発熱や接種した部位の痛みや腫れ、注射による痛み、恐怖、興奮などをきっかけとした失神などが挙げられます。
※3)キャッチアップ接種
個別接種の推奨を控えてきた期間に接種の機会を逃した、平成9年度~平成18年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2007年4月1日)の女性が対象。過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない人が、令和4(2022)年4月~令和7(2025)年3月の3年間、HPVワクチンを公費で接種できます。
(出典:厚生労働省)
子宮頸がんとHPVワクチン
子宮頸がんは年間約1万人の女性がかかっていて、そのうち約3,000人の女性が亡くなる病気です。がんの原因は、HPV(ヒトパピローマウイルス)の持続感染。プールやお風呂では感染しませんが、性的接触により微細な粘膜の損傷からこのウイルスは侵入します。生涯でほとんどの女性が感染しますが、多くが自然治癒します。持続感染した場合、子宮頚部の粘膜が徐々に悪性化しがんになっていくのですが、症状が出ないんです。そのため、気づいた時には進行していてほとんどの方が子宮全摘出となります。全摘出になってしまうとリンパ浮腫という足がパンパンになる症状が現れ、スカートが履けない、立ち仕事がつらいなど、その後の生活に支障があったり職業の選択も制限されてしまいます。
県内の大学生にHPVワクチン接種の話をした時に「接種する年齢が早すぎない?」「自分が感染しているか分かるの?」「コンドームで感染を防げるの?」などの質問を受けました。答えは「感染しているかは血液検査では分かりません」また「コンドームで感染は防げません」。ですから感染前(10~16歳まで)の早期の接種と、20歳以降の定期的な検診が大事になってきます。
HPVワクチン接種から見えるジェンダー問題
発症のピークは30~40代。働き盛り、子育て時期に重なります。しかし感染経路(性的接触)のせいで、自分が子宮頸がんだったと言わない、職場や家庭で話題にできないなどでワクチンやがんの情報が広がりません。ワクチンは期間を開けて1年間で3回接種しなくてはならないので、学校や職場の理解が必要です。しかし、例えば管理職に占める男性の割合が多いと、男性の上司から女性社員へワクチン接種を勧めることが「セクハラと思われるのでは?」と躊躇してしまうようです。
また、HPVワクチン定期接種の対象が女性だけということもあり、男性には関係ないと思われがちですが、HPVワクチンを接種すれば、男性にも関係する尖圭コンジローマ、咽頭がん・口腔がん・肛門がんの予防にもなります。海外では男女問わず接種していますが、日本では現在、男性のワクチン接種は一部自治体を除き自費です。
正しい情報を基にがんを予防しよう
ワクチンは、2価(サーバリックス)・4価(ガーダシル)・9価(シルガード9)の3種類あり、いずれもがんの発生頻度の高い型に有効です。シルガード9は子宮頸がんだけでなく、尖圭コンジローマも予防できます。効果に関しては、打っていない人で子宮頸がんになった方が100人いたとします。もしも30歳までに打っていたら40人に、10代で打っていたら12人に減らせた。ということです。
17歳から30歳までで遅れて打った人で、すでに感染している人もいるかもしれないけれど半分減らせますというデータがあるので、キャッチアップ世代の26歳まででなくても、打ちたい人は45歳まで一応効果があると言われています。感染する間に接種することで予防効果は上がります。
ワクチンの打ち方はコロナと同じ筋肉注射です。筋肉痛はありますが、発熱や倦怠感などがありません。万が一接種後に副作用が出た場合は、必ず接種医に相談してください。副作用は接種後から発症までの期間が決まっていません。数か月経ってから症状がでても、気になったらまず接種医に相談するべきです。
繰り返しになりますが、「キャッチアップ接種」は2025年の3月末までです。現在静岡県のキャッチアップ世代(17~26歳までの女性)は14万人いるのですが、2022年の4月から1年経っても1万人しか接種していません。このまま接種しなければ約1,000人が子宮頸がんにかかり、280人が死亡してしまいます。誰でもなるがんだからこそ、ワクチンに対する正しい情報を基に、この無料の期間に接種して予防しましょう。
※1)定期接種
決められた年齢では無料で接種を受けることができるもので、「HPVワクチン」は小学校6年~高校1年相当の女子を対象に、定期接種が行われています。
※2)副作用
子宮頸がん予防ワクチン接種後に見られる主な副作用として、発熱や接種した部位の痛みや腫れ、注射による痛み、恐怖、興奮などをきっかけとした失神などが挙げられます。
※3)キャッチアップ接種
個別接種の推奨を控えてきた期間に接種の機会を逃した、平成9年度~平成18年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2007年4月1日)の女性が対象。過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない人が、令和4(2022)年4月~令和7(2025)年3月の3年間、HPVワクチンを公費で接種できます。
(出典:厚生労働省)
