男女共同参画WEBマガジン

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自分らしく生きるためのヒントを見つける旅にでよう

インタビュー2016

この人に聞く!

柳川 貴央さん

(ヤマハ株式会社)

「男性の育休」

育休取得は自然なこと

 3年前、娘が生まれた直後から1か月間、育児休業を取得しました。育休を取った理由は、産後、妻ひとりで初めての子育てをするのは大変だろうと思ったためです。

 

 職場内の先輩男性社員も育休を取得しており、前例があったこともあって、育休を取ることに対し、私自身も職場も抵抗感はありませんでした。また、夫婦間で、私が育休を取るのは自然なこと、という認識もありました。1か月間という期間にしたのは、1か月あれば妻の産後の体調も回復し、夫婦ともに赤ちゃんの世話に慣れ、子育てが軌道に乗ると思ったからです。実際に育休を取ってみて、1か月という期間は過不足なくちょうどよかったと感じています。

 

 育休中、一番大変だったのが、子どもの寝かしつけです。赤ちゃんは昼夜問わず泣きだすため、妻と交代で睡眠を取りながら、寝かしつけを行いました。もし、これを一人でやるとしたら、肉体的にも精神的にも相当な負担がかかるだろうと思います。育休を通して、妻と協力し合い、一緒に初めての子育てを経験できたことが、後の育児に良い影響を与えていると感じています。

 

育休前・中・後の計画、同僚への配慮と感謝が大事

 仕事では当時、プロジェクトリーダーとして、ソフトウェアの開発を行う業務に携わっていましたが、一時的に業務から離れることに、特に不安はありませんでした。出産・育休の時期は数カ月前からわかるものなので、事前に計画を立て、備えることができたからです。育休前に必要な業務を前倒しで行い、育休期間中の引き継ぎをしておくことで、業務が滞らない様にすることができます。また、育休中も、週一で当時の上司からメールで簡単な状況連絡があり、育休明けもスムーズに業務に復帰することができました。

 

 プロジェクトリーダーをやっていて感じるのは、自分がいなくてもメンバーが能動的に動く状態がチームとして理想的だということです。仕事に責任とプライドを持つことは必要ですが、自分がいなければこのプロジェクトはダメになるという考え方は、プロジェクトリーダーとして好ましくないと考えています。自分がいなくても業務が進むように、しっかりと計画を立てたり、普段からメンバーとコミュニケーションを取って考え方を共有したりすることが重要だと考えます。

 

 もちろん、サポートしてもらうメンバーへの配慮と感謝を忘れないことが、なにより大事だと思います。

 

子育てしないのはもったいない!

 1か月間であっても仕事から離れ、子育てに集中することで、ひとりの人間として学ぶべきことがたくさんありました。ミルクやおむつ替えなど、育児のやり方を覚えることで、今後の子育てをスムーズに行えるようになるのはもちろんですが、父親とは何か、子育てとは何かについて考える良い機会にもなったと思います。女性が妊娠・出産という身体的な変化を通して、母親になる自覚を持ちやすいのに対し、男性の場合は、父親になる自覚を持つ「きっかけ」を得にくいように思います。育休は、父親として意識を切りかえたり、仕事と家庭のバランスを見直したりする良い機会になるのではないでしょうか。

 

 また、子育ては、仕事に対しても良いフィードバックがあると感じています。子供と過ごす時間を確保するために、業務を効率的に行うようになったり、子供を持つ親の目線に立った、より安全で優しい製品の開発ができるようになったりします。

 

 私は、先輩社員の前例があり、育休取得に抵抗のない恵まれた環境にいたと感じています。そのため、良い前例が少しでも多くできることで、男性の育休がもっと浸透していくのではないかと思います。

上司の意見!

阿部 征治さん

(ヤマハ株式会社)

「男性の育休」

阿部征治さんは柳川さんの直属の上司で、柳川さんと共に、電子ピアノの開発とマーケティングに携わっています。阿部さん自身も4年前に3週間、育児休業を取得した経験があります。

育休を取得しやすい企業風土

 ヤマハでは、2005年に初めて男性社員が育休を取得して以来、これまで53人の男性社員が育休を取得しており、平均約1か月間、最長で216日間の取得実績があります(2016年2月時点)。当社で男性社員が育休を取りづらいという環境はないと思います。

 

 社内のイントラサイトでは、両立支援制度・申請方法などの情報が公開されています。そこでは、過去の育休取得者を始め、これまでのキャリアや働き方についての社員インタビューも掲載されており、社員が自由に閲覧できるようになっています。

 

 育休に限ったことではないですが、当社では、いろいろな場面において、意見が言いやすい風通しの良さがあり、例えば商品を作る時など様々な場面で、社員の提案で何かが起こりやすい風土があると言えます。楽器を作っているという会社の性質上、働き方を含め、社員の考え方が堅苦しいと、面白い商品は生まれないのではないでしょうか。

 

育休は家事に参画するチャンス!

 一定の期間、家族と朝から晩まで向き合うということは、人生において退職するまでなかなか難しいでしょう。それが、あるタイミングで、会社からも国からも公式に認められるのが、育休という制度とも考えられるのではないでしょうか。この機会を、メリットとして積極的に活用してみるべきだと思います。

 

 育休はうまく家事に参画するチャンス。完璧にやらなければいけないとか、多大な貢献をしようとか、頭でっかちに考えないで気負わずにできることから楽しみながらやってみることが大事なのでは。実際にアクションを起こすことで、自分の家事に対する考え方や父親としての意識を変えていくことができると思います。

ブックサポーター 男性の家事・育児

あざれあ図書室

『新米パパは育休さん』

石井憲雄∥著

産経新聞出版 2006年

育児休業8か月、育休明けは「育児時間」制度を利用し、新米パパの日々の子育ての奮闘ぶりを、ユーモアあふれる表現で綴っています。『毎日新聞』のホームページ『MSN毎日インタラクティブ』連載に加筆・修正し単行本化。

『新ニッポンの父ちゃん

  ~兼業主夫ですが、なにか?~』

杉山錠士∥作 アベナオミ∥絵

主婦の友インフォス情報社

                                  2014年

育休どころかイクメンという言葉もなかった時代に、世間の強い風当たりに負けず育児家事をこなし、子育て番組に抜擢された放送作家のコミックエッセイ。夫をイクメンにしたい方、必見です。

『主夫になってはじめてわかった

         主婦のこと』

中村シュフ∥著

猿江商会 2015年

専業主夫をしているお笑い芸人・中村シュフが家事に育児に芸人にと主夫ぶりを発揮している様子が明るいタッチで描かれています。各ページ下のシュフあるあるにはクスッと笑ってしまうエピソード満載。

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