男女共同参画WEBマガジン

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インタビュー2020

地元のハンサムウーマン ~地域力を高める女性たち~

海野 フミ子さん

アグリロード美和  代表/静岡市)

 農家女性の自立をうながす

 

 「やればできるよ」と、嫁さんたちを引っぱる

  戦後まもなく静岡市内の農家に生まれ育った海野フミ子さんは、「その頃の農家のお嫁さんは、お金も地位も自由も、な~んにもなかった。ただただ農家の労働力でしかなかった。自分名義の通帳をもつことも許されなかった」と、言う。そのような農家の女性を身近に見て、生活改善をしないと女の人は大変だ、なんとかしなければと思ったことが、海野さんの出発点である。

 茶農家に嫁いだ。「今思うと、なるほど、意味があったんだとわかるけど、若いころ、姑の厳しさがつらかった。周りの嫁さんも同じね」。なんとかしようと始めたのが「若妻会」。

姑には渋い顔をされたが、夫に励まされて、近隣の若妻たちを集めて、息抜きのバレーボール大会を開いた。楽しかった。それに味をしめて、町内会女性部でお寺を会場に「お茶会」を。男性からは、「女のくせに、何考えてるんだ」と批判する声もあった。が、女性たちはお茶会を通して学び、徐々に自信をつけていった。「私は、住んでいる所に違う風を起こしたかった。やれば確実に何かが起こるんです」。何か行動を起こし、成果が現れ、さらなるものにつながって広がっていく。これが、海野さんの一貫してぶれない信条であり、いまにつながっている。

 

   女性はたくましい!

 平成8(1996)年、JAの女性部加工所として「アグリロード美和」を開設、代表になる。新鮮野菜、手作りの総菜・加工品が並ぶ。男の人たちに、“なんだ!女が集まって遊ぶのか”と言われた。しかし、自信のついた女性たちは、男性の声を馬耳東風と聞き流し、

嬉々として働いた。わずかずつだが、お金がもらえた。自分名義の通帳をもった。それは、画期的な出来事だった。

「何が変わったかって、いままでもらい物のお古を着ていた人が、自分で稼いだお金で好きな服を買う、化粧品を買う。みんなきれいになった。明るくなった。やっと農家の女性が経済的・精神的に自立したんですよ」

 女性たちが変わった。そして、男性も変わった。「うちの夫、な~んもできない人だったが、私が外に出るようになったら、洗濯したり自分の昼食を作ったり、自立しました」と、海野さん。たしかに、何かやれば、何かが起きる! 変わる! いまや、男性は応援団。

 農業が疲弊・高齢化している。が、退職をした子どもがあとを継ぐケースが増えている。「捨てたもんじゃあない。農業はつながっていきます。アグリロード美和も、地道な努力を積み重ねていきます。これは、私の性格そのものですね」。来年、25周年を迎える。

 

 

 

 「アグリロード美和」受賞の歴史

平成14年 男女共同参画知事褒賞受賞

平成17年 農林水産功労者表彰

平成19年 内閣府女性のチャレンジ賞受賞

平成26年 生産者と消費者で作る「生消菜言(せいしょうなごん)弁当」が、

               農林水産大臣賞  受賞

平成27年 ふじのくに食の都貢献賞受賞など

 

 

 

開店直後はレジが混みあう

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