男女共同参画WEBマガジン
epoca
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インタビュー2022
この人に聞く!
佐野 大介 さん
託児所もこちゃんハウス(認可外保育園)
父親育児応援団 パパスイッチ 代表
パパたちの家事・育児
令和4年4月から育児介護休業法改正の施行が始まった。男女問わず仕事と家事を両立しやすい環境づくりが進みつつある今、従来の性別役割分担意識をより見直すことが求められているのではないだろうか。
今回、託児所「もこちゃんハウス」及び「父親育児応援団パパスイッチ」の代表を務める佐野さんに、日頃の活動や男性の家事・育児の参加について聞いた。
もこちゃんハウスの活動
30年前に佐野さんの母が始め、3年前に佐野さんに代替わりした「もこちゃんハウス」。現在は佐野さん、佐野さんの妻、母、父で経営している。もこちゃんハウスでは、保護者に寄り添うことを大事にしていると佐野さんはいう。
「子どもは預けられると大泣きしますが、1時間もすれば泣き止んで周りの子と遊び出す。その様子を写真に撮って保護者にLINEで送るサービスをしています。大泣きしている子どもを見て罪悪感を持つママがいますが、預けることは悪いことではないよと伝えたいです」アットホームなもこちゃんハウス0~3歳の子どもが利用している
以前は精神保健福祉士として働きに出ていた佐野さん。ほぼ丸一日を妻と過ごすようになった現在は家事育児の分量が夫妻同じに。“自分はこんなにできなかったんだと思い知らされた”と話す。
「例えば料理をした時。調味料のストックがどこにあるかわからない。冷蔵庫にあったお肉で料理をしたら“お肉全部使っちゃったの”と妻に言われたことも。“家事の料理”は計画的に家族のことを考えてやるものなんだと気づきました」
この“気づき”がパパスイッチの活動につながった、と佐野さん。
「託児所で出会ったパパママにこの話をしたら反響が良くて。“パパが子どもを外に連れ出してくれた。けど水筒の準備や泥だらけになった服の洗濯は誰がやるの?”という話をママ達から聞いたり。“パパが家族を喜ばせるために丸1日かけてこだわりカレーを作った。子どもは大喜び。でもその子どもは誰が一日見てたんだ”という話も。
パパも頑張ってはいるんです。でもそれはママが喜ぶ方向に向いていない。だから頑張る向きを変えようと。それで“スイッチ”という名称を考えました」
パパスイッチで得た“気づき”
パパスイッチの会員は12名(令和4年6月時点)。パパはもちろん、ママや子どもたちの参加もOK。
「パパだけとなると、活動中は誰が子どもを見るの?って。なのでパパと子ども一緒に遊びに来てよ、と。それでママの時間もつくろうと考えました。一番気をつけているのは“ママの愚痴大会にならないようにする”です」
パパスイッチでは、育休、子どもの発達や学校行事、県発行の父子手帳、家族にイライラした時の対処法etc。勉強会というよりは話題にあがったことを皆でああだこうだと話しています、と佐野さん。
「育休の話の時は“会社にどういう風に話した?”“育休中は何をしてた?”“妻の反応は?”とか。育休を取った人に教えていただきました。育休を“やった、休みだー”と捉えるパパも世の中にはいますし(笑)やる気があっても何から手をつけていいかわからないという人もいます。そういう人の力になりたいですね」
佐野さんにとって、パパスイッチは“人に何かを伝えるという団体ではなく、自分自身も含め、パパたちが日頃の思いを共有し、一緒に学び成長する場”。ここでも大きな“気づき”があったという。
「ママに“こうした方がいい”と言われるとパパは反発してしまうことも(笑)むしろパパ同士だから響くこともあるんです。それから、夫の家事に対して、なぜ妻が“う~ん…”という顔をしていたのか分かった気がする(笑)カレーの話と同じ。自分では家事をしているつもりだったけど、それは趣味だったって」
“家事を効率よく終わらせる方法を見つけることで、家族みんなの時間が取れるようになるのでは”と佐野さん。
「だから、まずは“妻と同じ土俵で話し合うこと”が大切。そのためには夫も家事をやってみなきゃわからない。ただ“パパも絶対に家事をやろう“というわけでもないんです。家事は妻、仕事は夫と分けてうまくやっている家庭もあるので。それぞれ得意・不得意もあると思います。でも、やったらやったで気づきがありますから」
パパスイッチ 活動中!最後に佐野さんに今後の活動について聞いた。
「パパ向けの防災講座を計画しています。ママ向けの防災講座はあってもパパ向けってあまりないんですよね」
パパ同士で得た“気づき”が男女共同参画の未来を育てている。
ブックサポーター 父親の家事・育児
あざれあ図書室
『主婦をサラリーマンに
たとえたら想像以上に
ヤバくなった件』
(中河内瞬 主婦の友社 2019年)
サラリーマンから主夫になった著者。夜泣きや授乳で強制的に睡眠時間を削られることのつらさや子どもを見ながら料理をすることの難しさなど、理解されにくい家事育児の大変さが見えてきます。
『パパ入門ガイド
家族を笑顔にする』
(NPO法人ファザーリング・
ジャパン 池田書店 2018年)
子育てという一大プロジェクトを楽しむために、パパにしかできない役割や育児の基礎知識、遊び方や仕事との両立テクニックなどを具体的に紹介しています。これからパパになる人、3歳くらいまでの子どもがいるパパ向けの育児書です。
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