男女共同参画WEBマガジン
epoca
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インタビュー2017
この人に聞く!
猪野 かおりさん
(有限会社木成)
「林業に挑む!」
猪野かおりさんは、全国でも数少ない女性の林業従事者だ。早朝、朝もやに包まれる富士市南松野奥深くの山林に、チェーンソーの音が響き、一本の木がゆっくりと倒れていく。根元に立ち、チェーンソーを手に、倒れる木の様子を見つめる猪野さん。彼女はチェーンソーを構えると、倒れる方向を見定め、次の伐倒にかかる。さらに、重機に乗り込み、同僚2人と共にチームワークで木を切り倒していく。
間伐と呼ばれるこの作業は、森林の一本一本の樹木が適度な間隔を保つことで、太陽光が木の根元まで十分届くようにするために行う木の間引きのことで、健全な樹木の育成を促す。健全な樹木によって構成される森林によって、降った雨が蓄えられ川に流れたり、二酸化炭素が吸収されたり、土砂災害などが起こりにくい地盤が生まれたりするのだ。
猪野さんは、農業高校を経て農林大学校で林業を学んだ。その後この道に進んだのは自然な成り行きだったといえる。自然が大好き、体を動かすことが大好きで、自然の中で木や土などに触れながら仕事ができたら…と思い描いていた。
男の世界のイメージが強い林業の道に進むことに抵抗感は全くなかった。「林業が男の世界ということは認識していました。農林大学校でも女子学生はクラスに私一人だけでしたし。でも、女性だからできないという先入観はありませんでした。この仕事をやりたいという気持ちが強く、性別は全く気になりませんでした。一方で、同僚の男性たちの中には、私が女性だからという理由で、不安を感じたり心配したりする人もいるのではないかと思います。実際、男性の同僚のように重いものを持って運ぶことなどができない時、男女の身体能力の違いを感じることもあります。そんな時、同僚たちは冗談を言いながら、うまくフォローしてくれるので非常にありがたいです。私も、私にできる作業(重機の操作など)でこの仕事に貢献できるよう努力しています。
林業の魅力は、自然と向き合うと同時に自分自身と向き合うことができるということではないでしょうか。自然と向き合い格闘する作業は厳しいですが、同僚たちと息を合わせて木を切り出していき、山林が整備され山道ができ、結果が目に見える形で現れた時の達成感は何とも言えません。この達成感とともに自然の中でとるお昼ごはんがどんなにおいしく感じることか!(笑)
危険と隣り合わせの厳しい自然との格闘の中で、くじけそうになることもありますが、そんな時は、自分がやっていることが世の中の何に貢献しているかを思い出すのです」。
ブックサポーター 木を愛した女性
あざれあ図書室
『ワンガリの平和の木』
(ジャネット・ウィンター/作
BL出版 2010年)
9本の苗木を植えることから始まったグリーンベルト運動。ふるさとケニアに緑を取り戻しただけではなく、貧しかった女性たちの暮らしも変えていきました。ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんの伝記絵本です。
DVD『樹木医 塚本こなみの仕事:プロフェッショナル仕事の流儀』
(日本放送出版協会
NHKエンタープライズ 2007年)
43歳で日本初の女性樹木医となった塚本こなみさん。樹木との出会いは、造園家である夫の手伝いから始まりました。現在、はままつフラワーパークの理事長として活躍する塚本さんの仕事の哲学を伝えます。
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