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エポカ探訪

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市川房枝記念会 女性と政治センター

 JR新宿駅から徒歩約8分。渋谷区代々木の「市川房枝記念会 女性と政治センター」を訪ねた。

 

 市川房枝が平塚らいてうらと展開した婦人参政権運動は、1928年~1933年頃にかけて高まりをみせたが、その後、幾多の戦争により中断された。太平洋戦争終結から4か月後の1945年12月、衆議院議員選挙法が改正、国政における婦人参政権が実現し、その流れとともに、市川は多くの女性たちの協力のもと、戦後の女性解放運動をこの場所で再開した。当時、焼け野原と化した東京で、バラック建ての「婦選会館」は、女性が権利を求めて政治プロセスに関わっていくための活動拠点としてスタートを切った。

 

 あれから73年。「婦選会館」は、現在「市川房枝記念会 女性と政治センター」として、市川房枝の理念を受け継ぎ、女性の政治的エンパワーメントを図るさまざまな活動を続けている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 常務理事・事務局長を務める久保公子さんにお話を聞いた。以下はその主な内容となる。

常務理事・事務局長の久保公子さん

市川房枝晩年の私設/公設秘書を務めた

市川房枝(40代)

市川房枝(80代)

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「婦選は鍵なり」

 1945年8月の終戦からまもなく、市川房枝は仲間と共に婦人参政権運動を再開しました。同年12月、国政における婦人参政権が実現。翌年の1946年4月、戦後初の衆議院選挙で20歳以上の女性が初めて投票し、また39人の女性議員が誕生しました。これを機に、市川たちは、女性たちが有権者としての自覚を持ち、主体的に政治に参画していくための啓発と教育が必要と考え、1946年12月、この場所に「婦選会館」を立ち上げました。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 有権者の約半数を占める女性たちが、政治的決定に責任があるにもかかわらず、政治プロセスに関わっていくうえで、さまざまな壁に直面していると認識していた市川は、戦後も参議院議員を務めながら、女性たちを励ましつつ女性の政治参画の必要性を説き続けました。

 

 1962年に法人化、1981年の市川の死後「市川房枝記念会」と改名した当団体は、「婦選は鍵なり」と言った市川の精神を引き継ぎ、一貫して4つの目的、①女性の政治教育と人材育成、②女性の地位向上のための調査研究・出版物の発行、③戦前からの婦人参政権運動関連資料を有する図書館と展示室の運営、④国内外の関連組織との交流、に沿って活動しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在(2019年1月時点)、IPU(列国議会同盟)の発表によると、日本における女性国会議員の割合(衆議院)は10.2%で、193ヵ国中165位です。これはG20の中で最下位です。市川房枝がこの日本の現状を知ったら、どう反応するでしょうか。まだまだ低い女性たちの政治意識を嘆くかもしれません。

 

 市川房枝たちが女性の参政権を求めて運動した時代から約100年が経とうとしています。今を生きる私たちは、先人たちがさまざまな偏見に苦悩しながらも、女性の地位向上を求めて活動し、政治的権利を実現してきた上に立っていて、また未来への途上にいます。これから私たちに何ができるか、霧がかった道筋は先が見えにくい状態ですが、一歩一歩進んでいきたいです。

 

 昨年(2018年)、「政治分野における男女共同参画推進法」が施行され、選挙において男女の候補者数をできる限り均等とすることを目指すようになりました。まずは、今年(2019年)春の統一地方選挙、夏の参議院議員選挙の結果を見守りたいです。

 

 

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市川房枝記念会 女性と政治センター:https://www.ichikawa-fusae.or.jp/

2F展示室入口

市川房枝の等身大写真が出迎える

展示室内

ブックサポーター 市川房枝記念会

あざれあ図書室

『議会はあなたを待っている:

市川房枝政治参画フォーラムでの

        学びと実践から』

(市川房枝記念会女性と政治

   センター出版部 2014年)

市川房枝政治参画フォーラムで学んだ46人の選挙運動や議会活動などをまとめた実践レポート。“普通の市民”がどんな思いから政治を志し、どのようにまちづくりに取り組んだのか、1人ひとりの熱い思いと政治に女性が関わることの必要性が伝わってきます。

『女性展望』

(市川房枝記念会女性と政治

      センター 隔月刊)

女性と政治に関するテーマをジェンダーの視点で読み解いた、読み応えのある記事が満載の雑誌です。選挙結果の分析や国際的調査の紹介などを随時掲載し、政治の中の女性問題がわかりやすく解説されています。1954年に創刊され、最新刊は697号を数えます。

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