【アザレア・スポーツクラブ】は日本初の「女性と子ども」に特化した総合型地域スポーツクラブとして2018年11月に誕生した。

エコパスタジアムで行われた2019年のラグビーワールドカップの感動をまだ覚えている人も多いだろう。そのレガシーを残すため、クラブにとって最初のプロジェクトとなる7人制女子ラグビーチーム『アザレア・セブン』が2019年3月に設立された。

クラブとして「新しい女性アスリート」像を創出するというヴィジョンを掲げているが、それは一体どんなものなのか？

静岡県小笠山総合運動公園エコパを拠点に活動する『アザレア・セブン』の現役選手２人に聞いた。

●冨樫　香子　（とがし　かおるこ）選手

　■ポジション：フッカー、スクラムハーフ

●横山　里菜子（よこやま　りなこ）選手

　■ポジション：スタンドオフ、スクラムハーフ

※以降 （冨樫）(横山)　敬称略

基本的に月・水・金・土曜はグランド練習があって、月・火・水曜はグランド練習に加えて、ウェイトトレーニングを行うスケジュールです。なのでそれまではフルで仕事をしていて、残業などは基本的には考慮してもらっていますので、とても有難い環境で競技と仕事をやらせていただいています。

頭の切り替えが大変です。私たちはグラウンドの近くで働い ているので、寸前にグラウンドに向かうまでに頭を切り替えてっていうのはありますし、日中もずっとラグビーのことを考えてるみたいなところもあるので。

スポンサー企業に雇用して頂く選手も増えてきておりますが、自分で仕事を探す選手もいます。スポンサー企業に入社する場合は、GMが選手・企業にヒアリングをして、選手の特性が活かせるようにマッチングをしています。

プロでスポーツをやるってすごく難しいことだと思います。引退した後にビジネスで活きるような勉強をしたいっていう選手もたくさんいると思いますし。（仕事のマッチングは）女性アスリートの環境改善という意味でもあります。

例えば日本代表選手の多くはラグビーの活動も仕事の一環としてお給料をもらっているようです。午前に仕事して午後は練習というようなチームもあります。

私が前に所属していたチームは医療法人が持っているチームだったので、そのチームに入ると医療法人で働くことになります。ただ選手を引退した後、その仕事を続けたいかは微妙なところで…じゃあ現役中に働いていた中で何かを取得したり、社会人経験を積み重ねたかっていうとそうじゃないよねっていう問題はやっぱりあったんですよね。法人としては引退した後もそこで働いて欲しいって言ってくれていても、そうじゃないと思う人はそこからあまり選択肢がないというか。

だから今みたいに、ラグビーをやりたいって県外から静岡にきて、それなりに自分がやりたい仕事をフルに近い形で働けて、同時にちゃんと社会人経験も積めるっていうのは、やっぱり将来につながっているところ、『デュアルキャリア』※っていいますけど、そこはすごい大きいのかなと思います。

ラグビーもオリンピック競技になってプロみたいな子も増えてきていますが、それで「将来ラグビーにずっと関わっていきます」「指導者として関わっていきます」っていう人だったらともかく、 そうじゃないところを目指す選択肢としては、やっぱりまあ…… スポーツを現役でバリバリやっているうちにちゃんと働くのも結 構重要かなとは思いますね。

※『デュアルキャリア』とは「デュアル＝二重」「キャリア＝経歴」と訳され、主にアスリートがスポーツ活動と仕事など２つのキャリアを並行する考え方。選手人生を終えた先の第二の人生を考え仕事選びをクラブがサポートする制度は、選手にも求められている。

※外部リンク

「アザレア・スポーツクラブ」ホームページ

（https://azalea-sc.com/）

横山　里菜子　選手